中学数学の最大の壁 2次方程式(解の公式や平方完成)

中3になり、因数分解というパズル遊びに慣れてきた頃。

いよいよ中学校数学のラスボスとも言える「2次方程式」が本格的に牙を剥きます。

最初は楽しかったはずです。掛けてプラス6、足してマイナス5になる2つの数字を探すゲーム。

しかし、突然「パズルが解けない」不気味な方程式が現れます。そして先生は黒板に、これまでで一番長くて複雑な呪文を書き殴るのです。

$$x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a}$$

出ました。「解の公式」です。

「こんなの覚えられるか!」とペンを投げたくなった人は数え切れないでしょう。

さらに「平方完成(へいほうかんせい)」という、これまたよくわからないテクニックも登場し、頭の中はパニック状態に。

でも、安心してください。

解の公式は、あなたを苦しめるための呪いではありません。むしろ、数学者たちの「究極の面倒くさがり」が生んだ、愛と涙の結晶なのです。

因数分解のパズルには「限界」がある

そもそも、なぜ解の公式や平方完成が必要なのでしょうか。

それは、因数分解が「数字がたまたまキレイなときしか使えない裏技」だからです。

たとえば、次のような方程式を見てみましょう。

$$x^2 + 6x + 2 = 0$$

掛けて2、足して6になる数字。

いくら探しても、きれいな整数の中には見つかりません。現実世界の問題では、こんな風にパズルが解けない「キリの悪い数字」の方が圧倒的に多いのです。

パズルが解けないなら、どうすればいいのか。ここで登場するのが「平方完成」という力技です。

平方完成は「ムリヤリ正方形を作る」力技

平方完成という名前は難しそうですが、やっていることは「どうしてもパズルが解けないから、ムリヤリ2乗の形を作ってしまえ!」という強行突破です。

さきほどの式を使って、左側にあるxの2乗と6xだけで、ムリヤリカッコの2乗を作ってみます。

xの横についている6を半分(3)にして、2乗のカッコを作ります。

$$(x + 3)^2 = x^2 + 6x + 9$$

元の式にはプラス9なんてありませんから、勝手に増やした分だけ最後にマイナス9をして帳尻を合わせます。

$$(x + 3)^2 – 9 + 2 = 0$$

少し計算して整理すると、こうなります。

$$(x + 3)^2 = 7$$

ここまで来ればこっちのものです!

「何かを2乗したら7になる」ということは、その「何か」は「7の平方根(ルート7)」ということですよね。

$$x + 3 = \pm \sqrt{7}$$

あとは左側の3を右へ移項するだけです。

$$x = -3 \pm \sqrt{7}$$

見事、パズルが解けない方程式の答えを引っぱり出すことができました。

これが平方完成です。パズルがダメなら、ムリヤリ2乗の形を作ってルートで崩す。とても理にかなった作戦ですよね。

解の公式の正体は「先人のサボりぐせ」

さて、平方完成を使えばどんな2次方程式でも解けることがわかりました。

しかし、ここで数学者たちはこう思います。

「毎回毎回、半分にして、カッコの2乗を作って、帳尻を合わせて……ってやるの、めちゃくちゃ面倒くさいな」

そうです。彼らは極度の面倒くさがりなのです。

そこで、ある天才がとんでもないことを思いつきます。

「数字じゃなくて、全部アルファベットの文字(a、b、c)にした状態で、一回だけ気合を入れて平方完成をやっておこう。その結果を公式にしておけば、次からは数字を当てはめるだけで一瞬で答えが出るぞ!」

つまり、どんな2次方程式でも表せる万能の形を用意します。

$$ax^2 + bx + c = 0$$

これを、文字のまま、めちゃくちゃ複雑な計算を我慢して平方完成していくのです。

aでくくったり、bの半分を作って2乗したり、通分したり……。その血のにじむような計算の「最終結果」としてポツンと残ったもの。

それこそが、あの呪文のような「解の公式」なのです。

$$x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a}$$

解の公式は、天から降ってきた謎の暗号ではありません。

「もう二度と面倒な平方完成をしたくない」という一心で、昔の数学者があなたのために事前に計算を済ませておいてくれた「最強のショートカットボタン」だったのです。

おわりに:公式の裏にあるストーリーを感じよう

いかがでしょうか。

「解の公式を暗記しろ」と言われると苦痛ですが、「昔の人が面倒くさがって作った究極のチートアイテムなんだな」と思うと、少しありがたみを感じませんか?

因数分解というパズルがあり、それが通用しない敵には平方完成という力技で立ち向かい、さらにそれを自動化したものが解の公式。

これらはすべて繋がっている、1つの壮大なストーリーなのです。

次に解の公式を使うときは、これを作ってくれた昔の天才の「サボりたい」という情熱に、少しだけ感謝してみてくださいね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする