一巡伝達関数が次のように与えられているフィードバック制御系があります。
$$G(s)H(s) = \frac{K}{j\omega + 1}$$
ただし、$K = 2$ とします。
(1)$$\omega = 0$$ から $$\omega \to \infty$$ としたときのナイキスト線図を描いてください。
(2)この系のボード線図において、ゲインが $$0 \text{ dB}$$ となる周波数(ゲイン交差周波数)における位相を求めてください。
【ステップバイステップ解説】
(1)ナイキスト線図の描画
ナイキスト線図を描くには、複素数としての「大きさ(絶対値)」と「位相(角度)」の変化を追います。
一巡伝達関数に $s = j\omega$ を代入し、実部と虚部に分けます。
$$G(j\omega)H(j\omega) = \frac{2}{1 + j\omega} = \frac{2(1 – j\omega)}{1 + \omega^2} = \frac{2}{1 + \omega^2} – j\frac{2\omega}{1 + \omega^2}$$
- $$\omega = 0$$ のとき:実部 $$= 2$$、虚部 $$= 0$$。つまり点 $$(2, j0)$$ からスタートします。
- $$\omega = 1$$ のとき:実部 $$= 1$$、虚部 $$= -1$$。位相は $$-45 \text{ deg}$$ です。
- $$\omega \to \infty$$ のとき:実部 $$\to 0$$、虚部 $$\to 0$$。原点 $$(0, j0)$$ に収束します。このとき、分母に $$j\omega$$ が1つあるので、$$-90 \text{ deg}$$ の方向から原点に近づきます。
この軌跡は、点 $$(1, j0)$$ を中心とする半径 $$1$$ の半円(第4象限)を描きます。点 $$(-1, j0)$$ を包み込まないため、このシステムは安定であると判定できます。
(2)ボード線図とゲイン交差周波数
ボード線図の計算では、ゲイン特性 $|G(j\omega)H(j\omega)|$ をデシベル $[dB]$ で考えます。
1. ゲイン交差周波数 $\omega_c$ の算出
ゲインが $0 \text{ dB}$(すなわち倍率が $1$)となる周波数を求めます。
$$|G(j\omega)H(j\omega)| = \frac{2}{\sqrt{1 + \omega^2}} = 1$$
両辺を2乗して整理します。
$$\frac{4}{1 + \omega^2} = 1 \implies 1 + \omega^2 = 4 \implies \omega_c = \sqrt{3} \approx 1.732 \text{ rad/s}$$
2. そのときの位相 $\phi$ の算出
伝達関数の位相角の式は $\phi = -\arctan(\omega)$ です。
$$\phi = -\arctan(\sqrt{3}) = -60 \text{ deg}$$
このシステムの位相余裕(PM)は、$-180 \text{ deg}$ に対してどれだけ余裕があるかを見ます。
$PM = 180 + (-60) = 120 \text{ deg}$
となり、非常に安定したシステムであることがわかります。
まとめ:周波数応答攻略のコツ
- ナイキスト線図:始点($\omega=0$)と終点($\omega=\infty$)をまずプロットし、途中の代表的な点($\omega=1/T$ など)を通るように滑らかに結ぶ。
- ボード線図:ゲインが $1$ になる地点を探し、その時の位相が $-180 \text{ deg}$ よりどれだけ「上」にあるかを確認する。
この計算プロセスに慣れておけば、図示問題や安定余裕の計算で確実に得点できるようになります。

コメント