機械・制御の自動制御問題では、まず最初に「ぐちゃぐちゃに絡み合ったブロック線図」が提示されます。これをいかに素早く、正確に一つの伝達関数へと簡略化できるかが、その後の計算の成否を分けます。
今回は、パズルを解くようにブロックを結合していく、3つの基本テクニックを解説します。
1. 直列結合:ただの掛け算
2つのブロックが縦に並んでいる場合、全体の伝達関数はそれぞれの掛け算になります。
$$G(s) = G_1(s) \times G_2(s)$$
これは、入力が G_1 で加工され、その結果がさらに G_2 で加工されるという単純な流れ(カスケード接続)を意味します。
2. 並列結合:信号の足し算・引き算
同じ入力から枝分かれし、最後に合流点(加え合わせ点)で合わさる場合、全体の伝達関数はそれぞれの足し算(または引き算)になります。
$$G(s) = G_1(s) + G_2(s)$$
※合流点の記号が「-」になっている場合は、引き算をします。信号のプロトコルが合流して統合されるイメージです。
3. フィードバック結合:最も重要な基本形
出力を入力側へ戻すループ構造の簡略化です。前回の記事でも触れましたが、これが自動制御の「核」となります。
$$W(s) = \frac{G(s)}{1 + G(s)H(s)}$$
【覚え方のコツ】
- 分子:入力から出力へ向かう「近道(前向き伝達関数)」
- 分母:1 + 「ぐるっと一周(一巡伝達関数)」
※このとき、フィードバックの符号が「-」であれば分母は「+」に、符号が「+」であれば分母は「-」になります(電験ではほぼ負帰還なので「+」になります)。
4. 等価変換のテクニック:分岐点と加え合わせ点の移動
基本形に持ち込めない複雑な図の場合、分岐点をブロックの前に出したり、後ろに下げたりする「等価変換」が必要になります。
- 分岐点をブロックの「後ろ」から「前」へ動かす:ブロックを通る前の信号を取り出すことになるため、帳尻を合わせるためにその枝に「同じブロック」を挿入します。
- 分岐点をブロックの「前」から「後ろ」へ動かす:ブロックを通った後の信号を取り出すことになるため、帳尻を合わせるためにその枝に「1/ブロック」を挿入します。
この操作は、システムの配線を整理してデバッグしやすい形に組み替える作業に似ています。
まとめ:簡略化のアルゴリズム
- 直列に並んでいるところを掛け合わせる。
- 並列に並んでいるところを足し合わせる。
- ループを見つけて、フィードバック結合の公式で一つのブロックにまとめる。
- どうしてもまとまらない時は、分岐点や加え合わせ点を移動させて基本形を作る。
これらを繰り返すことで、どんなに巨大なシステムも最終的には「入力 → 伝達関数 → 出力」という一本道に整理できます。

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