【電験2種 2次試験対策】%Z法の基礎固め:基準容量変換と直列・並列計算の演習

前回の記事では、複雑な電力系統をシンプルに計算するためのツールとして「%Z(パーセントインピーダンス)法」の全体像を解説しました。

今回は、実際の試験問題を解くための最初のステップである「基準容量への変換(スケーリング)」と、「%Zの直列・並列計算」について、具体的な演習を交えて解説します。

1. 基準容量変換(スケーリング)の公式

問題文で与えられる発電機や変圧器の %Z は、それぞれ「自分の定格容量(自己容量)」を基準にした値になっています。これをシステム全体で定めた「基準容量 Pn」に統一しなければ、足し算や引き算ができません。

自己容量ベースの古い %Z を、新しい基準容量ベースの %Z に変換する公式は以下の通りです。

$$\%Z_{new} = \%Z_{old} \times \frac{P_{new}}{P_{old}}$$

  • %Z_old:問題文で与えられた機器固有の %Z
  • P_old:その機器の自己容量(MVA)
  • P_new:システム全体で統一する基準容量(MVA)

【直感的な理解】

公式として丸暗記するよりも、「スケールが何倍になったか」を考えると簡単です。

「10MVAのスケールで 5% のボトルネック」は、基準を 100MVA(10倍)に引き上げると、ボトルネックとしての影響力も10倍の 50% になる、というシンプルな比例計算です。

2. %Zの直列・並列計算

すべての機器を同じ基準容量(Pn)の %Z に変換し終わったら、あとはただの「電気回路の抵抗(Ω)の計算」と全く同じように扱えます。途中に変圧器があっても、無視してそのまま繋げて計算して構いません。

【直列回路の合成】

直列に繋がっている場合は、そのまま足し算します。

$$\%Z = \%Z_1 + \%Z_2$$

【並列回路の合成】

送電線が2回線(2ルート)並列で走っている場合などは、「和分の積」で計算します。

$$\%Z = \frac{\%Z_1 \times \%Z_2}{\%Z_1 + \%Z_2}$$

3. 【演習問題】実践的なシステムでの計算

では、ここまでの知識を使って、実際の試験を想定したシンプルな演習問題を解いてみましょう。

【問題設定】

以下の電力系統において、送電線の末端(事故点)で三相短絡事故が発生しました。システム全体の基準容量を 100MVA として、電源から事故点までの合成 %Z と、短絡容量 Ps を求めてください。

  • 発電機(G):容量 50MVA、%Z = 10%
  • 変圧器(T):容量 100MVA、%Z = 8%
  • 送電線(L1, L2):2回線並列。それぞれ 100MVA 基準で %Z = 20%
  • 系統構成: 発電機(G) → 変圧器(T) → 送電線(L1とL2が並列) → 事故点

ステップ1:すべての機器を 100MVA 基準に統一する

まず、基準容量と自己容量が異なる機器を探します。今回は「発電機(G)」が 50MVA 基準なので、これを 100MVA 基準に変換します。

$$\%Z_G = 10 \times \frac{100}{50} = 20\%$$

変圧器(T)と送電線(L1, L2)は、最初から 100MVA 基準の値が与えられているため、変換は不要です。(※実際の試験では、送電線のインピーダンスが Ω で与えられ、それを %Z に変換する手順が挟まることもあります)

ステップ2:並列部分(送電線)を合成する

送電線 L1 と L2 は並列なので、「和分の積」を使って1つの %Z にまとめます。

$$\%Z_L = \frac{20 \times 20}{20 + 20} = \frac{400}{40} = 10\%$$

ステップ3:全体を直列で合成する

発電機(G)、変圧器(T)、合成した送電線(L)が直列に繋がったシンプルな回路になりました。すべて足し合わせます。

$$\%Z_{total} = \%Z_G + \%Z_T + \%Z_L$$

$$\%Z_{total} = 20 + 8 + 10 = 38\%$$

これで、電源から事故点までの合成インピーダンスは 38% だと分かりました。

ステップ4:短絡容量 Ps を求める

最後に、前回の記事で紹介した短絡容量の基本公式に当てはめます。基準容量 Pn は 100MVA、ブレーキとなる %Z_total は 38% です。

$$P_s = 100 \times \frac{100}{38} \approx 263.16 \text{ MVA}$$

このように、一つひとつの手順は「比例計算」と「簡単な直列・並列計算」の組み合わせに過ぎません。まずはこの一連のフローを、手が勝手に動くレベルまで反復練習することが、2次試験突破の大きな鍵となります。

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