【電験2種 2次試験対策】数値演習:負荷増加に伴う受電電圧低下をコンデンサで阻止せよ

これまでに学んだ「電圧降下の近似式」と「遅れ無効電力を正とする符号のルール」を使い、実際の試験に出題されるレベルの数値演習に挑戦しましょう。

計算のポイントは、コンデンサ投入を「遅れ無効電力の引き算」として正確に式に組み込めるかどうかです。

1. 【演習問題】

送電端電圧が 66kV で一定の三相3線式送電線があります。受電端に接続された負荷が、ある時刻に「負荷A」から「負荷B」へ変化しました。負荷が変化した後も受電端電圧を 60kV で一定に保つために必要な、電力用コンデンサの容量 Qc (Mvar) を求めてください。

【系統パラメータ】

・送電線の抵抗 R = 5.0 Ω

・送電線のリアクタンス X = 10.0 Ω

【負荷の条件】

・負荷A(変化前):有効電力 20MW、力率 0.8(遅れ)

・負荷B(変化後):有効電力 40MW、力率 0.6(遅れ)

【運用条件】

・受電端電圧 Vr は、変化前後ともに 60kV を維持するものとします。


2. 【ステップバイステップ解説】

ステップ1:負荷変動前後の無効電力 Q1、Q2 を求める

まずは、それぞれの負荷状態における遅れ無効電力を算出します。

負荷A(変化前):

P1 = 20 MW、cosθ1 = 0.8 です。

sinθ1 = √(1 – 0.8^2) = 0.6 となるため、

Q1 = P1 × (sinθ1 / cosθ1) = 20 × (0.6 / 0.8) = 15 Mvar

負荷B(変化後):

P2 = 40 MW、cosθ2 = 0.6 です。

sinθ2 = √(1 – 0.6^2) = 0.8 となるため、

Q2 = P2 × (sinθ2 / cosθ2) = 40 × (0.8 / 0.6) = 53.33 Mvar

ステップ2:電圧降下が一定という方程式を立てる

受電端電圧 Vr と送電端電圧 Vs が変化前後で一定ということは、電圧降下 ΔV も変化しないで一定である必要があります。コンデンサ容量を Qc とすると、次の方程式が成り立ちます。

$$\frac{P_1 R + Q_1 X}{V_r} = \frac{P_2 R + (Q_2 – Q_c) X}{V_r}$$

ここで、コンデンサは「遅れを減らす存在」なので、(Q2 – Qc) と引き算の形で記述するのがルールでしたね。

ステップ3:方程式を Qc について解く

分母の Vr を消去し、数値を代入する前に式を整理します。

$$P_1 R + Q_1 X = P_2 R + Q_2 X – Q_c X$$

$$Q_c X = (P_2 – P_1) R + (Q_2 – Q_1) X$$

両辺を X で割ります。

$$Q_c = \frac{R}{X} (P_2 – P_1) + (Q_2 – Q_1)$$

ステップ4:数値を代入して最終解を出す

R = 5.0、X = 10.0、P1=20、P2=40、Q1=15、Q2=53.33 を代入します。

$$Q_c = \frac{5.0}{10.0} (40 – 20) + (53.33 – 15)$$

$$Q_c = 0.5 \times 20 + 38.33$$

$$Q_c = 10 + 38.33 = 48.33 \text{ Mvar}$$

解答: 必要なコンデンサ容量 Qc = 約 48.3 Mvar

3. 総括:計算結果の物理的な意味

今回の結果を見ると、Qc の内訳は「無効電力の増加分(38.33)」に加えて、「有効電力の増加による電圧降下をカバーする分(10)」が足し合わされています。

コンデンサは無効電力を調整するものですが、結果として「有効電力の増加で下がってしまう電圧」をも、無効電力をさらに余分に削ることで強引に持ち上げている、という構図が見えてきます。

このように数式の背景にある物理的な動きを意識すると、試験本番でも自信を持ってペンを動かせるようになります。

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