これまでに学んだ「ブロック線図の簡略化」「伝達関数」「ラウスの安定判別法」のすべてを網羅した総合問題に挑戦しましょう。この一連の流れがスムーズに解ければ、二次試験の機械・制御科目は大きな得点源になります。
1. 【演習問題】
以下のフィードバック制御系について、各問いに答えてください。
・目標値(入力): R(s)
・制御量(出力): Y(s)
・前向き伝達関数 G(s) = K / [ s (s + 1) ]
・フィードバック伝達関数 H(s) = 1 (単位フィードバック)
(1)この制御系の閉ループ伝達関数 W(s) = Y(s) / R(s) を求めてください。
(2)このシステムの特性方程式を求めてください。
(3)ゲイン K > 0 とするとき、このシステムが安定であるための K の条件をラウスの安定判別法を用いて求めてください。
2. 【ステップバイステップ解説】
(1)閉ループ伝達関数の導出
フィードバック結合の基本公式「前向き / (1 + 一巡)」を使います。
$$W(s) = \frac{G(s)}{1 + G(s)H(s)} = \frac{\frac{K}{s(s+1)}}{1 + \frac{K}{s(s+1)} \times 1}$$
分母と分子に s(s + 1) を掛けて整理します。
$$W(s) = \frac{K}{s(s+1) + K} = \frac{K}{s^2 + s + K}$$
(2)特性方程式の特定
特性方程式は、閉ループ伝達関数の分母をゼロとおいたものです。
$$s^2 + s + K = 0$$
(3)ラウスの安定判別法による条件算出
得られた特性方程式 $s^2 + s + K = 0$ に対して、ラウス配列を作成します。
- 必要条件の確認:すべての係数(1, 1, K)が存在し、かつ正である必要があります。K > 0 という条件はすでに問題文にありますので、この時点で「K > 0 であれば必要条件は満たす」ことがわかります。
- ラウス配列の作成:2次方程式なので非常にシンプルです。
| 次数 | 1列目 | 2列目 |
| s^2 | 1 | K |
| s^1 | 1 | |
| s^0 | K |
※ s^1 行の計算: (1 × 1 – 1 × 0) / 1 = 1
※ s^0 行の計算: (1 × K – 1 × 0) / 1 = K
- 安定条件の判定:第1列の要素(1, 1, K)がすべて正であれば安定です。したがって、安定であるための条件は K > 0 となります。
3. 総括:2次試験での「自動制御」の立ち回り
今回の演習では2次方程式だったため、K > 0 であれば常に安定という結果になりました。実際の試験ではこれが3次や4次の方程式になり、ラウス配列の途中に「 2 – K > 0 」のような式が現れ、そこから「 K < 2 」といった具体的な範囲を導き出すことになります。
自動制御問題の攻略手順:
- ブロック線図をミスなく一つの式にまとめる(ここで間違えるとすべて終わります)。
- 特性方程式を s の降べきの順に整理する。
- ラウス配列を丁寧に作成し、1列目の符号変化(不等式)をチェックする。

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